あいつの髪が、夜風に揺れている。

その姿は、写真におさめたくなるくらい綺麗だった。



一歩一歩踏みしめながら、あいつに近づく。

俺の気配に気づいたのか、あいつの大きな瞳が俺に向けられた。



「蒼……」

俺も街灯の下で立ち止まる。

柔らかなオレンジ色の光が、俺たちを照らしていた。



「こんな時間に呼び出してごめんね」

「俺は、別に大丈夫だけど……ほのかのほうが忙しいんじゃね?」

あいつは、少し疲れた顔をしていた。

それでもあいつは笑顔を作って、手に握っていたチケットを俺に差し出した。