「ん?……何のこと?」

「俺、お前に無理矢理……」

あいつに何をしようとしていたのか、口に出すのも抵抗があった。

あいつは、しばらく考えてから答えた。



「……全然気にしてないよ」

「俺、幼なじみとして最低だな」

ほのかは何も答えなかった。

受話器の向こうは、無音になっている。



「なぁ、ほのか……お前、アイドルになってよかった?」

「たぶん……」

ほのかは、また黙ってしまった。

相手の顔が見えないぶん、沈黙を重く感じてしまう。



「よかったかどうかは、ライブ観たらわかるよ……」

ほのかは小さな声で、そう言った。