好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》

ほのかを笑顔にするために、オーディションに応募する必要はあったのだろうか。

ほのかの可愛らしさを証明して、自信をつけさせるためにオーディションを受ける必要があったのだろうか。



俺は、『お前は可愛い』とほのかをほめたことがあっただろうか。

クラスで孤立して自信をなくしたほのかに、『お前が一番』だと伝えたことがあっただろうか。



俺の隣にいたほのかに、『お前のことが好きだ』と自分の気持ちを伝えたことがあっただろうか。



俺は、ほのかに何もしていない。

ほのかが望むようなことは、何も言っていない。



どうして『ほのかは可愛い』と他人に言わせようとした。

どうして自分でほのかに『可愛い』と言ってやらなかったのだろう。