文句を言われる前に
俺は試着室のカーテンを閉めた。


「・・・ちょっと!」


言いながら幸奈はカーテンを開けて顔を出した。


「いいよ、買わなくて!
あんたに貸しを作りたくないし!」


「何言ってんだ!?
高校に入れた貸しがすでにあるだろ?」


「それは貸しじゃない!
あんたが無理矢理入れたんでしょ!?」


「それじゃあ何だ?
ここには冷やかしに来たのか?
店の商品を買わないで出ていくのか?
長時間試着室を利用しといて・・・」


「わかったわかった!
でも私が買うからね!?」

幸奈はそう言うと勢いよくカーテンを閉めた。