「ねぇ!お父さん!今度はこの絵本読んで!」


病室から女の子の声が聞こえ、
つづいて大人の男の声が聞こえた。


「はいはい、でもごめんな?
もうすぐ回診がくるからそのあとな?」


見るとその部屋は個室で
そこにいるのは女の子と大人の男だけだった。


「えーー!読んでよー!」


「んーーー」


男が両腕を組み、
困ったように唸った。


そんな様子を開けられたままの
入り口からこっそり覗いてた俺の横を
看護士が横切り病室に入った。


「回診の時間です」