「どうして・・・?」


「だって厳しくても、
ちゃんと育ててくれる父親がいるってことが・・・
私はとても羨ましいです・・・」


「幸奈ちゃん・・・もしかして・・・?」


「私、父親がいなくて・・・」


「そう、なの・・・?」


「・・・はい、
私が物心ついたころにはいなかったんです。
・・・離婚したらしくて」


離婚・・・


「父親に関する記憶は、
ほぼない・・・と思います」


「幸奈ちゃん、ごめんなさい・・・!
そんな話をさせちゃって・・・!」

ますます暗い表情になる幸奈ちゃんに、
あたしは謝ることしかできなかった。