今夜、色のない君と。



秋野さんはバーコードを読み取りながら、嬉しそうにクシャッと笑った。



…バーコードを読み取りながらだとさすがに髭は撫でられないからね。



光世はリュックからお金を取り出し、きっちり代金を払った。



「はい。本ね」


「あざっす」



……もうちょっと丁寧に言えないものか。



「あ、そうだ。緒都くんに一個お願いがあってね」


「お願い?」


「うん。夕方の6時ぐらいから店番やってくれないかな。僕その時間からどうしても外せない用事ができちゃってさ。明日からなんだけど」



な、なんと?!


そんな話今までの秋野さんなら人件費がどーのこーのって言って絶対に相談してくれなかった。



秋野さんは申し訳なさそうに言ってるけど僕としたらこれ以上ない幸せだ。



「前々から緒都くんがこの店で働きたいって言ってたの思い出してね。任せちゃった方が僕も助かるし」


「文聖堂で働ける上に秋野さんの余生を過ごす手伝いができるなんて……」


「緒都それ違くね?」