今夜、色のない君と。




「もし僕が受験落ちたら、ここで雇って貰えますか」


「人件費がなくてもいいなら」



タダ働きかい。



まぁお願いしたところでこういう返事が返ってくるのはわかってるんだけど。


いつものようにダメもとでお願いしては断られる。



でもなんとなく僕は、秋野さんとのこのやりとりが好きだった。



「あ、そうだった!僕からね、緒都くんにプレゼントがあったんだ。受験がんばれってことで。ちょっと待ってて」


「………」



そう言って秋野さんは業務部屋の扉の奥に引っ込んだ。



……受験がんばれっていう意味でのプレゼント。


そして秋野さんは僕の苦手な教科を知っている。


……ああ。こんなにも待ち遠しくないプレゼントは生まれて初めてだ。



そんなことを思いながら僕はレジの前で秋野さんが出てくるのを待った。