「…は、え?噓…?」

「…噓でこんなこと言うほど、性格悪くないけど」



人のせっかくの勇気を…。

なんか軽く、ぶちのめしてやりたい。


というより、思ってた反応と違うことに驚いてるんだけど。

「ほら、やっぱりね」…みたいなことを言われるかと思った。



「え…どうしよ…。え、ほんと、夢…?」

「…そんなに言うなら、頬っぺたつねったらいいじゃん」

「うん、やってみる。……痛っ」



本当につねってるし。

どうした、爽やかそうに見えて意外と腹黒いっぽい栗栖くん。どこ行った。



「え、じゃあ…付き合う?付き合うってことでいいんだよね?」

「…お好きにどうぞ」

「…それは、『もちろんいいよ』っていうことだよね?」



…エスパー栗栖くん、健在。


無言を肯定と捉えたのか、栗栖くんは急に抱きついてくる。



「ちょ、変なことしないって言ったじゃん…!」

「でも、もっとドキドキさせるって言ったし。ドキドキしてる?」

「なっ…」



そんなの、言わなくてもわかるくせに。



「…してるに決まってるじゃん、バカ」





fin.