秋文は、ゆっくりと抱きしめていた体を話した。
 照れているのか、少しだけ耳が赤いのに気づいた。


 「ごめんなさい。私、ちょっと嬉しい。秋文がそんなに私の前でカッコつけようとしてくれてるの。」
 「……なんでたよ。失敗したらカッコ悪いだろ。」
 「でも、それは私の事が好きだから、でしょ?」
 「………そうに決まってるだろ。」


 秋文は「カッコ悪い所見せてんのに、これ以上言わせんなよ……。」と、顔を赤くしながら文句を言っていた。その姿を可愛いと思ってしまったのは、彼には絶対に内緒だ。


 「でも、だから話せるって思った。いや、話さないと行けないと思ったんだ。」
 「秋文………。」


 先程までの表情から一転。
 秋文の顔は真剣そのものだった。
 釣られるように、千春も同じ表情になる。


 「黙っていて悪かった。俺が今やっていることを聞いてくれるか。」


 秋文の低音でゆっくりとした声。
 それを聞いて、千春はゆっくりと頷いた。