「どうした?怖い……?」
 「ううん。なんか、幸せだなって。秋文の体はどこも温かくて気持ちいいから、おかしくなりそう。」
 「それは俺の方だ。こんな姿のおまえに、そして甘い声、見たことない顔。ずっとこうしたかったんだ。」
 「………ねぇ、秋文。」
 「なんだ。」
 「私、秋文より夢中になっちゃうかも……。」


 そう告白すると、秋文は驚いた顔をした後、少し企んだらようなニヤリとした顔を見せて笑った。


 「それは、無理だな。俺は何年夢中だと思ってんだ。………千春、好きだ。」
 「私も好き。」


 お互いの気持ちを囁き合ったのはここまでで、その後は彼がくれる熱に溺れてしまった。
 秋文の優しくて温かい包容と、激しく求められる快感に翻弄されながら、もって彼を感じたいと願い、千春は彼を見つめた。
 余裕がない顔で、切なそうに千春を見つめる彼が
いとおしく、目を瞑りたくないと思ってしまう。

 けれど、心地よい気だるさと、彼の少し汗をかきた肌に抱き締められ、千春はゆっくりと目を閉じて幸せの中に浸った。






 
 

 
 
 ふかふかのベットと秋文の香りに包まれて眠っていると、小さく機械音が鳴った。
 いつもの目覚ましの音ではないし、今日は休日のはずだ。微睡みの中で、ゆっくりと目を開けると、秋文がスマホを持って部屋から出ていったのが見えた。少しドアが開いているのか、彼の真剣な声が聞こえる。

 朝から仕事の電話だろうか。彼は本当に忙しいのだなと思いながらも、千春はまだ体に力が入らずに、微かに開いているドアを、呆然と見つめていた。