「秋文の事、友達からのスタートだったけど、付き合ってから好きになれるかなって思ってた。けど、秋文は、ずっと優しくしてくれた。利用してもいいって、信じられないことも許してくれて、沢山甘えさせてくれた。そして、私の外面だけじゃなくて、私自身を好きになってくれたんだって、わかった。」
 「……好きだったのはずっとだったし。……利用されるとか、甘えさせるとか、そんな事は関係なかったんだ。俺はただ、お前と一緒にいられればそれでよかったんだ。」
 「……好きになるのはあっという間だったよ。……もっと早くから秋文を好きなればよかった。」



 そう言って千春が微笑むと、目からポロリと涙が流れていた。自分でも泣いてしまっている事に驚き、両手で涙を拭おうとした。
 その千春の腕を秋文が優しく掴み、動きを止める。そして、千春の瞳に溜められた涙にキスをした。


 「俺の事を想ってくれて……好きなってくれるなんて、信じられない…。けど、本当なんだよな?」
 「うん。秋文が好き。都合が良いって言われるかもしれないけど………。」
 「俺にとっては都合がいいから、いいだろ。」
 「秋文ったら………でもね、ずっとずと好きでいてくれたのに、気づかなくてごめんね。」
 「今、好きになってくれたならいい。」

 
 目を細め、口は緩やかな弧の字に笑い、幸せそうな秋文の顔を見ると、千春はまた涙を流した。

 今度は、自分に甘えて欲しい。
 そう願ってしまう。


 秋文にキスを繰り返しされると、先ほど食べたチーズケーキの甘い味がしてきて、秋文もそうなのかと思ってると「甘い、な。」と彼がキスの合間に微笑みながらそう言った。
 

 「同じ事考えてた。」
 「じゃあ、俺が今考えてることわかるか?」
 「……………ベット行きたい、とか?」
 「正解っ!」


 秋文は、私の腕を少し乱暴に引っ張り、廊下の一番手前の部屋に入った。
 黒のインテリアに、グレイのベットカバーの彼らしい寝室だった。秋文は、部屋の間接照明だけを付けて、大きなベッドに座った。
 そして、恥ずかしくなりながらもついてきた千春を抱き締めながら、ゆっくりとベットに押し倒した。


 「もう待てないからな。」
 「えっと…………シャワーを浴びたいなーなんて………。」
 「無理だ。煽ったのはお前だ。」


 その言葉の後、秋文は千春の顔の横に両手腕をついて閉じ込めながら唇にキスをした。
 そして、そのまま、頬や額、首筋と小さく口づけを落とした後、耳をいやらしく舐めると、千春の体がビクッと跳ね、そして、小さな声が漏れた。耳元で「耳弱いんだな。」と、クスクスと笑いながら言われると、それだけで体が震えてしまう。

 少しずつ服を脱がされ、秋文も脱ぎ、素肌のまま抱き締められると、千春はまた涙が出てしまう。