そして、そんな秋文を見ていると、千春はずっとドキドキしてしまっていた。彼がサッカーをしている姿はこんなにもかっこよかったのだろうか。


 「ねぇ……立夏。」
 「うん?」
 「秋文って………すごく、かっこいいんだね。」
 「……何それ、惚気?」


 立夏はニヤニヤしながら、千春を覗き込んだ。千春は「違うよ!」と言いながらも、顔は真っ赤になってしまう。確かに自分の彼氏をかっこいいというのは、惚気になってしまうのかもしれない。

 けれど、恋人になってサッカーをしている秋文を見ると、キラキラとしていて、いつも自分に向けてくれる優しい微笑みとは違う真面目な姿が、とても新鮮で魅力的に感じてしまったのだ。


 「今までは、友達だったから特に外見を見ても整った顔立ちだなってしか思わなかったんだけど。今は、違うんだ……。」
 「まぁ、普通にしてても秋文はかっこいい分類だと思うよ。だから、サッカー選手なのにCMとか雑誌とかにも出ているんだと思うし。それに、人気があるのも、それが理由のひとつだと思うし。」
 「そうだよね……やっぱり、他の人もかっこいいって思うよね。」


 千春が試合会場に来て思った事の1つがそれだった。秋文に女性ファンが多いという現実だった。秋文の着ている背番号のユニフォームを着ている若い女の子が多く、グッツ売り場でも特設で彼のグッツが販売されていたのには千春も驚いてしまった。
 そして、試合が始まれば黄色い歓声が秋文に送られており、千春は何回もドキッとしてしまった。


 「……秋文、人気あるもんねー。すごいよね、ファンの数。」
 「……うん。」
 「惚れ気だと思ったら今度は凹んでるの?」
 「ううん。そういう訳じゃないんだけど………。」
 「もっと自信持ちなさい。見た目で選ばれたわけじゃないって、結構すごいことだよ。そりゃ、可愛い方がいいけど、千春はモテるんだしそこは自信持っていいし。秋文は10年も片思いしてた相手なんだから、ね。それに、秋文を信じるんでしょ?」
 「うん……信じてるよ。」


 励ましてくれる立夏を見つめながら、まっすぐ彼女の目を見て返事をすると、「よしよし、えらい!」と、笑いながら頭を撫でてくれる。


 立夏に怒られた後、少しギクシャクするのかと思っていたけれど、彼女はいつもと変わらず接してくれた。優しくて頼れる親友には、何回感謝してもしきれない。

 
 「好きになってきた?」
 「…………好き、だと思う。」


 親友の問いかけに、頬を染めながらそう答える。
 言葉にすると、自分の気持ちに気づける。
 彼と付き合い始めてから、彼への好きが大きくなってきているのを感じていた。