11話「再会」





 「いけー!出ーっっ!」
 「だから、立夏……出はゴールキーパーだってば……。」
 「ここで、出がボール蹴ったら面白いかなって。」
 「誰がゴール守るのよー。」


 面白がりながら応援をしている立夏に突っ込みを入れながら、千春は目の前のコートに視線を戻した。

 そこでは、真剣な表情でチームメイトに声を掛けながら、ボールを追いかけている秋文の姿があった。

 3人と友達になった頃から、秋文と出のサッカーの試合へ応援しに行く事は多かった。けれど、2人がプロチームに入り、そして千春と立夏が社会人になってからはその頻度は少なくなってきていた。
 
 今日は、たまたま秋文と出のチームが試合があると秋文に聞き、応援に来たのだった。
 秋文と出は関係者席に招いてくれたけれど、試合の雰囲気を楽しみたいと言って、それを断った。
 コートの中央がよく見える場所を選んだのは秋文がMFだから。司令塔として、中心にいる秋文がよく見える場所を選ぶと、立夏はすぐにわかったようで「仲がいいようで安心した。」と言いながらも、ニヤニヤと笑っていた。


 「もう少しで前半終わるけど、まだ引き分けだねー。」
 「そうだねー。秋文も頑張って前線に攻めてるけど、出がいるからね。なかなか、ゴール決まらないね。」
 

 試合はどちらも攻め合っており、見ごたえのあるものだった。
 千春は、出を見ながらもどうしても視線は秋文に行ってしまう。

 秋文が大きな声を出して指示したり、ドリブルをして相手をかわしたり、パスをして上手くいけば仲間と笑いあっている。汗をかき、真剣な表情で走る彼を見ていると、サッカーが本当に好きなんだと改めてわかった。