「自分を出していいよって言われたから、お酒とかお肉とか好きだって言ったり、アニメとかゲーム好きだって教えたり、休みの日はおうちでまったりしてます。とか、本当の事教えたら、ダメって……本当の私は、誰も好きになってくれないのかな……。」


 千春は、色白で女の子らしい容姿、そして、ファッションも綺麗系なものが好きなので、見た目はとても男ウケがよかった。そのため、学生の頃から千春はモテていたけれど、いつも長続きしなかった。
 別れを告げられる理由は、いつも同じ。
 「思っていたタイプと違った。」だった。

 酷いときには、「嘘ついてんじゃねーよ!」と、罵声を浴びせられ、千春がかなり落ち込んでしまった事があった。

 けれど、立夏と秋文が、千春を酷く振った相手に、こっそり殴り込み(精神的な攻撃が多かった。)をしているのは、千春には内緒だったが。(その時の出の役目は、千春の見張りと慰め役だった。)


 「おまえ、同じことばっか繰り返してるな。」
 「ぅ………。」
 「秋文の言う通りねー。ちゃんと中身見てくれる人にしなさい。初めから素の自分を出してけばいいじゃない。」
 「……素の自分なんて、誰も好きになってくれないよー。」
 「そんな事ないだろ。まず、やってみなきゃわからないだろう?」
 「自信ないな……。私の中身見ても、好きだって言ってくれる人なんて、今までいなかったもん。」


 千春は過去の恋愛を思い返してみても、そんな人はいなかった。趣味は隠して、かわいく見せ女の子らしい言葉や返事を作っていた。

 嘘をつていたのかもしれない。そう思うと、自分が悪いのだとわかる。けれども、誰かに好かれたい、そんな気持ちが千春は大きかった。
 千春は一人きりの時間がとても多いのだ。


 「わぁーーー!やっぱり飲むー!」
 「あ、それ私のドリンクっ!」


 千春は、立夏のお酒を奪い取り一気飲みをした。
 きっと、酔って寝てしまえば忘れられる。千春は、そんな思いでお酒を飲み続けた。