付き合いの長い関係だとしても、それは友達として。恋人としては、まだ付き合い始めで、何もかも恥ずかしいのだ。それが、いつになったら慣れるのか、千春には想像も出来なかった。

 
 「リップもとれてるし、お酒も飲んでるし……。」
 「俺だって飲んだ後だ。それに、俺にはそんな外見の事なんて気にするなよ。」
 「そんなの無理だよ……。」


 秋文は、恥ずかしそうにする彼女を見て苦笑しながら、髪に触れていた手で今度は頬を撫でる。くすぐったそうに見上げる千春をいとおしいそうに見つめていた。


 「着飾ったおまえも可愛くて好きだけど、素のおまえに俺は惚れたんだ。」


 その言葉を聞いてしまったら、千春はもう何も言えなくなってしまった。
 千春を見つめる彼ほ瞳が、少し潤んでいるのが、薄暗い公園でもよくわかった。
 そんな様子で千春をみながら、秋文は微笑むと、少し体を下げてキスをしてくれる。

 誰かいるかわからない屋外だからか、触れるだけの控えめなキスだったけれど、それでも秋文とのキスに慣れるはずもなく、終わった後もボーッと彼を見つめてしまう。


 「はぁー……なんなんだ。おまえ相手だと我慢できなくなる。」
 「我慢しなくていいのに………。」


 そんな事を言ってしまえたのは、少しお酒が入っているからなのか、本当にそう思っているのかはわからない。
 けれども、自然と口から出た言葉は心の所かにはあった気持ちのはずだ。