泣いた顔のまま、にっこりと微笑んで彼にお礼を言うと、秋文は数秒固まってから、すぐに顔を背けながら素っ気なく返事をした。隣に座っていた千春は気づかなかったけれど、立夏と出は赤くなった秋文の顔を見て、ほのぼのとした雰囲気になっていた。
緊迫した雰囲気が、やっといつも通りになり、みんなで食事を始めようとしたときだった。
「ところで、千春。その元彼氏の先輩とやらの名前と職場、教えてくれない?」
「え……なんで?」
「もちろん、殴り込みに。」
「それは俺も同意。」
立夏の言葉にも驚いてしまったのに、千春は秋文も止めないのには驚いてしまう。
そして、ふたりとも顔が本気だった。
「気持ちはわかるが………。千春、教えるなよ。この二人なら本気でやるからな。」
「えぇ!!?それはだめだよー。」
「なんでよ!一番悪いのはそいつなのに。」
そんな話をしながらも、またワイワイと賑やかな会話が続いてく。
そうやって、心配してくる3人に感謝をしながら、千春はこの四季組の雰囲気が好きだと改め感じ、壊したくないと思った。
「もう大丈夫だよ。私には、秋文がいてくれるし、ね。」
「………そうね。よかったねー、秋文。」
「うるせーなっ!」
立夏と出に認めてもらったこの恋。
千春は、やっと本物の恋愛になり、本当の恋人同士になれたような気がした。