「ふたりとも、千春が困ってるだろ。話が脱線してる。」
「だって、秋文があまりにもバカすぎて。」
「おまえが、天の邪鬼すぎるんだろ。」
「わかったから……ふたりが千春を大事に思ってるのは伝わってるから。……だろ、千春?」
出がそう言って、千春を見る。それに合わせて、秋文と立夏も千春の方に視線を向ける。
千春は、ふたりの言葉に隠されている意味を理解出来ないほど鈍感ではなかった。
ふたりがお互いに大切に思っている事も、千春に
がしたことを叱咤しながらも、思っていてくれるのを、理解していた。
だからこそ、涙が止まらなかった。
こんなにもいい友達を持っているのに、何を迷っていたのだろうか。何で相談しなかったのだろう。
そして、恋人同士になったばかりの親友の気持ちも、改めて感じることが出来た。
その嬉さと同時に、こんなの大切な3人を裏切った事がとても恥ずかしかった。
「立夏……立夏の言う通りだよね。あんな事は、秋文を悲しませるだけだよね。……こんなに大切にしてくれるんだから、私も答えなきゃって思う……だから、立夏。私に秋文もくださいっ。」
「おまえ、それは……。」
「……はぁー、本当にあんたには敵わないわ、千春。……その言葉は、何か違うと思うけど……別に、私は秋文の母親じゃないし、秋文なんかと絶対付き合いたくないから、それはいいんだけど………。」
千春の発言に、出はクスクスと笑っており、秋文は何故かぐったりとしている。
けれど、千春はそれどころではなく、立夏の返事を緊張した面持ちで待っていた。
「まぁ、秋文が千春に惚れてるんだから、仕方がないんじゃない。大切にしてくれれば、それでいいよ。」
「うん!ありがとう。」
涙を拭きながらやっと笑顔になった千春を、立夏と出は、安心した面持ちで見ていた。
「秋文も、ごめんなさい。そして、信じてくれてありがとう。」
「……あぁ。」