「千春。私、あなたに言ったよね?秋文は、私の大切な幼馴染みだって。……それなのに、付き合い始めたのに元彼氏に呼ばれたらついていくの……?あなた、そんなに最低な女だったの?」
 「………ごめんなさい。」
 「立夏、言い過ぎだ。」
 「出は黙ってて!」


 立夏の隣にいる出が、やんわりと止めようとするが、それでも立夏は止めなかった。
 それほどに怒っているのだとわかり、千春は彼女の目を見つめながら話しを聞いた。
 大切な親友の言葉を、俯いてなど聞けるはずがなかった。けれど、目には涙が溜まってしまう。自分の情けなさで、悲しくなるのだ。


 「秋文は、利用していいとかバカな事言ったみたいだけど、あなた本当に秋文を好きになれるの?甘い言葉をかけて優しくしてもらえれば、誰でもいいんじゃないの?それなら、大切な幼馴染みを悲しませるだけだから、今すぐ別れなさい。………あなたとも、当分口を聞きたくないわ。」
 「立夏!」


 秋文は大きい声で立夏を止めるけれど、彼女は何も言わずにじっと千春を見つめていた。とても鋭い視線で。


 「……秋文、立夏、ごめんなさい。それに、出も。………いつも良くしてもらってたのに、こんな風に呆れさせるような事をしてしまって。秋文、私………。」
 「俺は別れないからな。これは、俺と千春の問題だ。関係ない奴が文句言うなよ。」
 「関係ないですって!」
 「そうだろ。俺が良いって言ってんだよ。それに悪いのは全て千春じゃないだろ?当たってんじゃへーよ。心配するならそう言え。」
 「そんなんじゃないわよ!何言ってんの?!」
 「どーせ、自分に相談してくれなかったのがイヤだったんだろ。おまえこそ、小さい奴だな。」
 「なんですって!!」


 何故か立夏と秋文の言い合いになってしまい、千春はそれをおろおろと見つめる。
 自分にも止める資格がないのはわかっていたので、声も掛けられなかった。