「さて。ここに私たちが来た理由。わかってるでしょ?」


 リビングのテーブルに料理を並べた。ソファには、出と立夏が座り、秋文はカーペットの上に座った。
 憮然とした態度の立夏がそう言うと、秋文はいつもの調子で話をする。寝たことで少し冷静になれていた。


 「千春の事だろ?3日前の朝以来会ってない。連絡も取れない。」
 「で、この手紙を置いていったって事ね。」


 テーブルに置いたままだった手紙を見つめて、立夏が言うのをただ頷いて肯定した。


 「俺が会社を設立して仕事が多くなって会えなくなる事が多くなったんだ。そして、スペインのチームに誘われてるのも、話せなかった。会社の事説明したとき、すごく嬉しそうだったのに。断るから話さなくていいって勝手に思ってた。………また、同じことをして傷つけたんだろうな。」
 「…………秋文。それは。」
 「あんた達って本当にバカね。」


 困った顔の出と、呆れ顔の立夏。
 この状態は、どこかで見た光景だと思った。そして、すぐに思い出す。千春が元彼氏と会った時の話だ。それを打ち明けたときの2人の顔はまったく対照的だった。
 それがまた、秋文の家で再現されている。それを、起こした原因は秋文本人だったが。


 「千春がそんな事で、秋文の前からいなくなったと思ってるの?あんなにあんたの事好きなのに?」
 「それ以外に何が……。」
 「手紙よく読んで見なさいよ。」
 「…………。」