「ほら、これ持って行きなさい」


朝食と一緒にテーブルの上に置かれたのは、ホッカイロ。


「制服のポケットに入れてくだけでも、少しはマシでしょ」


そう言うと、お母さんは台所に戻って行った。



「…」


ホッカイロ…


今まで、持とうとも思ったことがなかった。




ホッカイロ…



朝食よりも、じっとテーブルに置かれたホッカイロを見つめる。







「…お母さん」



そして、思い立ったかのように台所にいるお母さんに声を掛けた。







「ホッカイロってまだある?」