ようと手を繋いで、夏の暑さの体温を感じるのに、妙に緊張した。

以前はあんなに手を繋いだりすることが当たり前だったのに。

大好きなりんご飴と、一通り食べ物を買って道の端に座って食べようとすると、私とようの中学の友達と遭遇した。

その中の一人には加川 カエデ(かがわ かえで)もいた。

彼女と私は小学生からの中で、なんでも相談したりふざけたり、
秘密も言い合える仲だった。

初恋が失恋した時も、ように片思いしていた時も、なんでも彼女にだけは話せた。

もちろん、ようと付き合っていたことも。

だけど、彼が一度記憶を無くしていることともう一つ…。

私の病気のことだけは、未だに打ち明けられずにいた。

早く伝えなきゃって思えば思うほど、言えなかった。

“死ぬ”だなんて伝えたら、どんな表情をされるかとても怖かった。