12月の春、白い桜が降る。

目的地につき、近くの店でお昼を買い、紅葉を見に行く山の中で食べて、
そのあとはゆっくり歩きながら話していた。

「私さ、桜好きなんだよね」

会話の中で、ひなたが突然言い出した。

「紅葉見に来てるのに?」

と、僕は笑いながら返し、
ひなたも笑いながらうん、そう、と言った。

その言葉に対し僕は深く考えずに

「僕も桜好きだな」と軽く返した。

ひなたのこの言葉には、深い意味があったことも知らずに。