12月の春、白い桜が降る。

紅葉を見に行く日の当日、

ひなたは待ち合わせに一時間たっても来なかった。

連絡のひとつもよこさないし、なによりひなたがデートに遅刻するのは紛れもなく珍しかった。

いつも僕より先に着いていた。

僕の中で何か嫌な予感が走った。

考えたくはない、考えたくはないのだが、
もしかして、病状が悪化してしまったのだろうか、

もしかして、もうすぐだめなのだろうか。

そんな不安をかき消すように、ひなたに電話をかけていた。