12月の春、白い桜が降る。

卒業アルバムに映る彼女を見ていたら、

ますますどうして、彼女なんだろう、という気持ちがこみあげてきてたまらなくなった。

この頃の僕も、彼女自身も、彼女が死ぬなんて考えもしていなかった。

友達にも家族にも、人柄にも恵まれている彼女に、どうしてこんな残酷な運命が背負わされたのだろう。

あの薄暮のように美しく切ない笑顔を、どうして神様は消したがるのだろう。

彼女が死ぬくらいなら、僕が__、
なれるものなら、僕が代わりになりたかった。

気づいたら、目の周りが熱くなっていた。

彼女が、いつがいなくなることがわかっていながら、自分にできることは何もない。

改めて無力さを突きつけられ、自分で自分に腹が立つ。

そんなことを考えてるうちに、携帯からいつもの鈴の音が鳴った。