綺麗な夜景。

寒さで取れそうになる耳。


僕はここの景色に何度も何度も励まされた。

この公園でばったり彼女と遭遇したことがあった。

あの日は山本さんに告白した日の後で、夜にここで涼もうと一人で夜景を見に来た。

すると数分後、階段の方から彼女が登ってきたのが見えた。

でも僕は、気付かないふりをした。

泣いたあとだったし、話しかけることが出来なかったから。


「えっ。」

その姿を見た瞬間、弱々しい声が漏れた。

幻でも見ているのかと疑った。

目の前にいるのは、紛れもない僕の以前の恋人__。

“ひなた”だ。

嬉しさで体が熱くなったのがわかる。


その嬉しさを心に刻んで、
意を決して、
僕は、静かにこの夜景の中を

飛んだ。













飛ぼうと、した。