「ひなたは、病気だったの?」


思わぬ問いかけに、数秒固まってしまった。

ひなたが彼女に自分の病気のことを打ち明けられずにいたことは知っていた。

じゃあ加川は、どこでそれを聞いたんだろう。

ひなたのお母さんが伝えたのだろうか。


「うん。そうだよ。」
「どうして言ってくれなかったの?」
「それは…」
「どうして私には教えてくれなかったの?」
「…」
「私は、ひなたの大事な秘密も教えられないような友達だったの?」
「それは、違うよ」
「何が違うの!?」

彼女は勢いよく声を上げたせいか、周りから視線を集めていた。

けれど僕も、そんなこと、気にしていられないほど、彼女と真剣に向き合っていた。

「ずっと…あいつが一人で苦しんでいる間、私は呑気にいつも通り過ごしてたってこと…?そんなの…」

加川は目からたくさんたくさん涙を溢れさせた。
僕は何も言わずに、ただ見つめていた。

「…どうして、知っているの」

「入院してたことは知ってた。
担任が、風邪をこじらせただけだから心配はいらないって言ってたの。

だから病院の場所聞いて、お見舞いに行ったの。そしたら………」

加川はまた、泣き出してしまった。



「私のこと、覚えてなかった」