12月の春、白い桜が降る。

高二の春、ようやくひなたの泣いていた理由がわかった。

その日のひなたは、どこかいつもと様子が違うような気がした。

笑ってはいるけど、心では、泣きたい、と叫んでいるような。

臭いけど、本当にそう見えた。

デートの帰り、ひなたは、こう、言った。


「私ね、もうすぐ死ぬの。」


耳を疑った。

「またドッキリ?」

冗談かと思った。こんな冗談言うなんて、縁起が悪いなと。

でもそんな考えは、ひなたの顔を見たらすぐにかき消された。

「告白はドッキリじゃなかったでしょ」

冗談を言う人はこんな切ない表情をしない。

僕は、彼女の告げたことが事実なんだと悟りたくないけれど、悟った。