12月の春、白い桜が降る。

「ひーなた!」

突然声を掛けられ、気持ち跳ねてしまう。

教室の時計を見ると、お昼休みの時間をさしていた。

「今日あんたどうしたの?ずっとぼんやりしてない?」

楓が、前の席に座って顔を覗き込んでくる。

「眠いだけ」と、窓の外を見ながら返事をする。

それじゃあ、いつもじゃん、と笑いながらからかってくるのに対し、
私も一緒になって人のこと言えないじゃん、とふざける。

楓は、私がようが付き合っているのに対し、しょっちゅうからかってきたり馬鹿にしてきたりするが、

なんだかんだいつも協力してくれたり、応援してくれたりする。

私も普段は口には出さないが、とても感謝している。

いつか病気のこともきちんと打ち明けなければならない。

そう思うと、少し胸が苦しい。
楓を騙しているみたいだ。
いや、騙しているんだ。

私の余命まで、あと三ヶ月となってしまった。