「…なんで、そいつなんだよ」

古谷先輩はぼそっと呟いていたが、私にはなんと言ったかはっきりと聞こえた。

いや、ようも聞こえた表情をしている。怒りが込み上げたが、
さっきのような大声は控えて、静かに、冷たい声で古谷先輩に言葉を投げる。

「…私はようしか好きじゃないんです。ようを好きになったんです。本当にごめんなさい。
だけど…こんなこと、もう二度とやめてください」

古谷先輩は小さく笑い、黙りこくったまま警察と歩いていった。