次の瞬間、私たちよりさらに後ろから数人の警察がストーカーに掴みかかる。

ようは私の方に駆け寄り、警察がストーカーに問いかけている。

「あなた、名前は?」

ストーカーは名前を言わず、ひなたの知り合いだよ、と言った。

警察はストーカーに向けていた目線を私に変え、そうなんですか、と今度は私に問掛ける。

確かに私はこの人を知っている。
いつもバイトでお世話になっているのだから。

「…古谷、先輩ですよね」

ストーカーの男は警察にマスクを帽子を取られ、笑ってそうだよ、と言った。

いつもの優しい笑顔だが、今の私には悪魔そのものにしか見えなかった。