「その人の顔は覚えていますか?」

「いいえ…」

交番に着いた今でも、声と手の震えは止まらず、ようが強く握りしめてくれる。

「そのストーカーは結川さんが一人でいる時についてくる傾向にあるんですよね。
でしたら明日のバイト帰りに1人で帰ってください。

そして冬郷さんは隠れて二人を追ってください。私たち警察も一緒に参りますので。」

ようははい、と強い表情で返事をした。

警察の適切な対応に少しほっとしたが、明日、一人で歩いて帰るのはやはり怖い。

帰り道、ようはずっといつもよりも優しい言葉を沢山かけてくれた。