「――係長、昨日の旅行は誰と行ったんですか?

背の高い男性と電車に乗ってるの見たって人がいて・・・。

帽子で男性の顔あんまり見えなかったけど、

服装から年下じゃないかって噂ですよ。」



“そう、・・見られたんだ。


いっそ顔も見られちゃえばよかったのに。

驚くほど私とは不釣合いな美青年なのに。“



「――いいの!

さっさとお茶を入れて仕事しなさい。」


と、注意していながら、顔が笑ってしまった。


私も給湯室で嘘じゃない話をする日が来る。

――近日に。