2ヶ月前、お腹が痛いと言った僕を病院へ送ろうと彼女が車を出してくれた。

僕のために運転してくれている彼女を後部座席で横になり虚ろな目で眺めていた。
本当にいい彼女を持ったものだ、と惚れ惚れしてしまった。美人で気の利く、女神のようだ。

しかし突然大きなクラクションが鳴り、僕の目の前の景色は歪んだ。



目を覚ますと病院の天井であった。

運良く僕は軽症で済んだのだが、彼女は一向に目を覚まさない。
僕のせいだと何度も何度も頭を抱えるが時間が戻ることはできないらしく、ただ大人しく眠る彼女の手を握ることしかできなかった。



今までの思い出を振り返っていると涙が溢れてきた。
もうあの頃の笑顔が見れないのではないか、僕を癒してくれたあの声を聞くことができなくなるのではないか。そんな思いばかりが胸を馳せる。

今思えば、一緒に買い物に出かけたり電話をしたり。すごく普通のことなのだけれどどれも幸せだった。手紙を書いたこともあったなあ、、


いつも君を見ていた。君だけを見ていた。
君が目を覚ました時、これら全部覚えているだろうか。