君が、今まで見たことのない表情で彼を見つめていたんだ。


欲しい物を見つめる、ショーケース越しの表情に似ているが、それとは少し違う。


なんだか、目がキラキラしていた。


少女漫画である、後ろにお花が飛んでいるような表現が、彼女の周りを漂っていた。


僕が知る限り、これが彼女の初恋と言うやつだ。


そんな経験したこともない彼女は、そのときも、僕に助言を求めてきた。


スカートをはいて、おかしくないかと、僕の周りをクルクル回ったり、女の子向けの雑誌を買ったり、お母さんの化粧品を無断で使用して怒られた事なんかも報告してくれた。



その時は、



気持ち悪い。

馬鹿みたいだ。



と、思っていたけど、それから、どこかで僕も君を女の子として意識し始めたのだと思う。


もちろん、その恋は告白もせずに終わったが、何かが彼女を変えたのと同時に、僕の心境も変えていった。