その時、きっと、今までみたいには戻れないのだろうと思った。


壁は、天まで届くほど、高くなってしまったのだろう。



「寒いから、帰ろうか。」

「そうだね。」




なんともなかった様に、二人は歩き出す。


間に、壁を隔てながらも、一定の距離を保って。



まるでこうなるのが当たり前だったかの様に…



告白による解放感や、フラれた事による喪失感は不思議と湧いて来なかった。


ただなんとなく、すぐ隣にある君の手が、今なら握れそうな気がした。