やっと気がついたときには、何故か自宅の部屋にいた。

相変わらず、目が回るほどの気分の悪さ。

おでこには、濡れタオル。

どうやってここに帰ってきたんだろうか。

「あ、起きたんだね。気分はどう?」
「…三神君?」

「会社で倒れたの覚えてる?」

その言葉に小さく頷く。

「凄い熱で、病院に連れていこうとしたんだけど、常備薬飲んで、寝てたら治るの一点張りで。それなのに起きられる状態じゃなくてさ」

「…ごめんなさい。迷惑かけて」

「それは全然いいんだけど。…まだ、熱高いね。まだ夜中だから。ゆっくり休んで」

「…三神君も、もう帰らないと」
「俺のことはいいから、ね」

高熱で私は直ぐに深い眠りに落ちていった。

『え?俺、楓に好きなんて言ってないだろ?俺の本命はこの人だから』

夢の中で、仁に言われた。そんな悪夢で目が覚めたら、もうお昼を過ぎていた。

目の前には、心配そうな顔の三神君がいた。

私は三日間高熱にうなされた。

その間、看病してくれたのは三神君だった。

本当なら、こんな時、友美が傍に居てくれるんだけど、出張でいなかった。

3日目の夜、私が寝ている傍らにいた三神君。

玄関が開く音に、うとうとしていた頭が覚醒した。