研修期間を終え、4月。

大分仕事にも慣れ始め、優しく頼もしい先輩達に助けられながら、毎日楽しく過ごしていた。

…一つの事を除いては。

女性社員と仕事をしているときは、仁も、先輩にならって忙しそうに仕事をしている。

その姿は、元々イケメンな仁だ。とても様になるし、カッコいいとすら思う。

「私も頑張らないと」

そう呟いた時だった。

「楓、私も頑張らないと」
「え?あ、友美」

上野友美。同じ部署に配属された同期。

気さくでサバサバしている友美。仲良くなるのに時間はかからなかった。

だけど仕事中は勿論、違う先輩の下で働いているので、話ができるのは、ランチの時と、終業後。

私は友美との時間を待ち遠しく思いながら、仕事に励んだ。

…。重い。

先輩に頼まれた書類の箱を、資料室に戻しに行く。

力持ちの私でも、流石に重い。

おまけにヒールを履いているため、歩きにくい。

「重そうだね。女の子にこれはダメだろ」

その声が聞こえたかと思うと、一気に体が軽くなった。

営業部の三神さん。仕事も出来て、他人に優しい、実は同期だったりするのに、女子社員達から、絶大の人気を誇る。

「ありがとう三神君、助かる」
「いえいえ、これ、重すぎだろ?これを女の子に持たすとかないわ」

「おい!三神、それ、俺が持つわ。」

そう言ったのは