7月。

ずっと、避けているわけにはいかない。

私は少しずつでも、仁に歩み寄る努力をしようと思った。

仁の口から、しれーっと、誕生日を聞き出す作戦を練っていた。

「お前さ」
「…んー?」

資料の整理中。

私に声をかけてきた仁。

私は作業をしながらそれに返事をする。


「何企んでんの?」

その言葉に、ビクッとして、資料のファイルをバサバサっと落としてしまった。

「企むなんて、そんな事…何も考えてないけど」
「…うそつけ」

「…なっ」
「この間まで、散々俺を避けてたくせに、急に手のひら返したみたいに寄ってきて」

…確かに。仁の言うことは正しい。

「わ、悪かったわね!金輪際、仁には近寄らないわよ!これ、後はやっといてね」

拾ったファイルをドンと突きつけると、その場を逃げようとした。

こんなことがしたい訳じゃないのに。

私は下唇を噛み締めた。

「また逃げんのかよ」

そう言われたと同時に、腕を掴まれ、壁にドンと追いやられた。

…私は固まる。