「何それ?幼なじみが悩み事?別に、悩み事でもなんでもないじゃない」

そう言って、友美は笑う。

でも、浮かない顔に気づいた三神君は問いかける。

「幼なじみが、ひっかかるの?」

私はその言葉に頷くと。

「仁はね、小さいときからずっと一緒で、仲の良い幼なじみなら、何の問題もなかった。でも、それとは正反対。仁は私だけには意地悪で、とにかくずっといじめられてきた。高校まで一緒だったけど、もう我慢の限界で、大学は、内緒にして、別の大学に進んだ。仁から逃げたの。」

私の言葉に、友美と三神君は目を見合わせる。

「でもまさか、同じ会社の、しかも同じ部署に配属されるなんてミラクルが起きるなんて思わなくて…更に、同じマンション隣同士とか、もう悪夢以外の何物でもなくて」

その言葉に、三神君は同情する。

「会社は無理だろうけど、引っ越せば?」
「流石に引っ越したばかりで先立つものがない」

バイトで貯めたお金で引っ越をした。両親には負担をかけたくなかったから。

「でもさぁ」

やっと、友美が口を開いた。

「友美?」
「寺崎は、楓の事、どう思ってるんだろうね?」

…そんなの。

「嫌いに決まってるよ」
「そうかなぁ?」

「友美ちゃん、」

それ以上は言わないでほしいと、首を降る。三神は、楓に気づいてほしくなかった。仁の気持ちに。


「いや、言うよ。私は!寺崎は、楓の事好きなのよ!絶対そう。嫌いなら相手になんてしない。好きなやつほどいじめたくなるってもんよ」

三神は頭に手を当てた。