5月になった。

あの一件以来、私は仁を避けた。

いや、避けられなかった。

だって、仁はいつもどんな時も、気がつけば隣にいて、逃げることも、避けることも許される状態になかった。

「…楓ちゃん、最近、元気ないね?どうした?なんか悩み事?」

終業間近、私に声をかけてきたのは、三神君。

…悩みを打ち明けるか否か。

私はしばらく三神君の顔を見つめ。

「話したら楽になるって事もあるだろ?」

そう言われ、仁との関係を打ち明けようと思い立った。

「仕事が終わってから、相談のってくれる?」
「勿論良いよ。この前食べに行った所で待ち合わせよう」

「お願いします」

…そして、仕事を終わらせた私は待ち合わせ場所へ向かった。

私がついて、30分後。

三神君が待ち合わせ場所に来た。

「ゴメン毎回遅れ…て。…友美ちゃん、も?」

二人きりだと思っていた三神君は、ガッカリした顔をしつつ、席につく。

「三神ゴメンねぇ。私にも聞いてほしいって言うからさぁ」

何て言いながら、不敵に笑う。

友美は心の中で思っていた。

楓は三神には、気がないと。

「とりあえず、生頼もう」

3つ頼んで、それぞれに飲んだ。

私は二人がグラスを置いたことを確認すると、打ち明けた。


「あのね、私、いや、私と寺崎君て、実は」

二人は、息を呑む。

「…幼なじみなの」


「「は???」」


思いもよらない告白に、二人は、ポカンとした顔をした。