「初めてなのにーーー」

そう言って、泣き出す私。

「何にも覚えないーーー」

しゃくりあげながら、仁を睨む。

「私のこと、嫌いなくせに」

その言葉に、仁の顔がイラついた顔になる。

「ざけんな、臆測で物言ってんじゃねぇ」
「だって、」

昔から、ずっと、ずっと、ずっと。

仁は、私をいじめてきた。

優しくなんてしてくれなかった。

ポロポロと涙を流す私に、仁は有無を言わせず口づけた。

「な、なな、」
「覚えてないなら、今から刻み込め」

「っ!!仁のばか!!」

私は、仁の体を押し退けると、ベッドから飛び退き服を着ると、部屋を飛び出した。

仁は、寝転んだまま、ベッドを殴る。

「…人の気も、知らねえで」


その声は、私には届かない。