仁はいつもそうだった。

「お前なんか嫌いだ!」
「だったら付いてこないでよ!」

保育園の時は、こんな感じ。

嫌いだ!と言いつつ、どこにいくにも付いてくる。

「楓ちゃん、重いものは、女の子は持たなくて良いよ」
「え?持ってくれるの?ありがとう、淳くん」

小学生になり、女の子に人気者の淳くんにいつも助けてもらう事が多くなった。そして、仲良くなれたはずなのに。

「コイツは、女じゃねぇ!女のふりした男だよ!」

そう言って、私の頭を叩いたのは。

「仁!!」

あまりの痛みに、半ベソかいて、怒ってみるも、あっかんべーしていなくなる始末。

我慢して、やっと卒業し、中学生。

アイツは何も変わらない。

「隆司くん、実は私、前からずっと」

初恋して、意を決して告白しようとしたのに。

「コイツと付き合うと呪われるって、隆司くん」
「また?!仁!!!」

私の初恋は、呆気なく散ったのは言うまでもない。

我慢の限界ギリギリ、高校生。

「なんでまた、仁と一緒なのよ!?高校はいくらでもあるのに!」

「知らねーよ!お前が勝手についてきたんだろ?」
「はぁ?!」

「頭が悪ぃ、お前が悪い!」

!!!ここは、県で一番の進学校なのに。

仁なんて、勉強もろくに出来ないからって、ここを選んだのに…

「あんたなんか、あんたなんか!だいっきらい!」

私は、何がなんでも、仁から逃げることを決意し、大学は、両親以外、知らせなかった。

仁の両親と仲の良かったうちの両親だったが、勿論口止めした。