「ご苦労さん。」

ハンドルを握る手を、一つ離して撫でてくれる。

「先生が側にいてくれたからだよ。
先生がいっぱい愛情を注いでくれたから…………
海晴ちゃんに返すことが出来たよ。
ありがとう。」

自分の気持ちを素直に伝えられる歓び……………。

受けとめてくれる人がいるからだよね。

唯は強くなった。

今なら……

自信を持って言えるよ。

だって、自分が大好きになれたから。

先生に教えてもらった

『自分を好きになりなさい。
自信を持って。』って言葉。

今なら分かるよ。

傲る気持ちじゃないんだよね。

自信を持つのは…………信じるってこと。

自分を信じれない人が

人に信じてもらうことなんて出来ない。

そう言いたかったんだよね。

「良い顔だ。
唯………………大人になったね。」

「うん!!」

唯の返事に嬉しそうに微笑む先生。

「先生……………悠君。
大好き!!」

腕にしがみついて甘える唯の頬を撫でて

「それじゃ、大人になった唯に…………
もう少し、大人になってもらおうかなぁ~
お仕置きもあることだし。」って笑った。

えっ?!

大人!!

お仕置きって?!

焦る唯を横目に、楽しそうな先生。

あれっ??

どこでどう間違ったの?!

急に不安が背中に張りつく。

あぁ~ん!帰りたくないよぅ~