「明けましておめでとうございます。」

「今年は忙しくなりそうだけど……
一人じゃないんだって……覚えておいて。
もう、これからは全て二人の問題だからね。
幸せな一年にしよう」

新年の挨拶を二人でして、そのまま先生の実家に。

車で聞く話しは、唯の知らない先生の愛情。

「去年の正月は、久しぶりに実家に帰ったんだ。
夜中の電話を切って、その足で神社に行ったからね。
唯ちゃんのお守りをどうしても手に入れたくて。
年末に悩みを聞いて………
でも……あの頃は付き合うなんて無理そうだったから……
近くで支える代わりに、神様に身代わりを頼んだんだ。
神様をあれほど信じたことないよ。」って。

新学期にサラリと渡されたお守りに

これ程の思いが入っていたなんて………。

でも……

思い返すと、いつも先生はそうやって

唯が気づかない程さりげなく、支えてくれてたんだよね。

……………遠足や佐藤先生の時。

イチゴの鍵に家族の話し合い。

唯の家のこともそう………実家が無くならないようにしてくれた。

運転する横顔をじっと見つめていたら

「そんな可愛い顔するなら、このまま帰ってずっとキスして
お正月を過ごすよ。」って……。

………………それもちょっと魅力かな?

なぁ~んて。

でも、3日間ずっとイチャついてたから………

この車の距離が遠く感じちゃう。

「あぁ~。
そんな顔する唯ちゃんが悪いんだからね。」って言うと

ハンドルを右に切って

夏に来た海に寄ったの。

冬の夜の海は………

この前来た時と違う顔を見せ、とても静か。

世界に二人だけになったように思える。

「暗くて、怖い??」

変わらず唯の心配をしてくれる先生。

「ううん、大丈夫。
先生と一緒だから、怖くも淋しくもないよ。」

そう言うと、優しいキスをしてくれる。

さっきまで、あんなにエッチな顔をしてたのに

今は唯が不安にならないように気づかって…………。