「ハイハイ、みんな集まって!
カッコいいみんなを、お家の人に見て貰おうね。」

スッカリ元気になった海晴ちゃんに安心する暇もなく

今日は、お遊戯会。

さっきの合奏と合唱に、感動してる唯を放置して

先生も、咲ちゃんもドンドン次の準備を進めてる。

分かってるよ……………

終わってからにするべきだって。

でも…………

あんなに小さな体で、大きく口を開けて歌ったり

緊張してドキドキしながら舞台に上がったり

嬉しくて、お母さんに手を振りたいのに我慢して

演奏したりと…………

いじらしくて、可愛い姿を見せられたら…………涙だって溢れるよぅ。

おまけに

『せんせい、なかないで。』ってハンカチまで差し出してくれるんだよ。

この子達のクラスで良かったって思っちゃうよ。

感動に浸りながら、涙を乾かそうと表に出ると

「あれっ?唯ちゃん、大丈夫?」って圭哉さんが。

喫茶店のマスターをしてる圭哉さんは、お昼は忙しいはず。

幼稚園のお遊戯会を見に来るって………

あっ!!

先生に用事?!

「先生ですよね?
ちょっと待ってて下さいね。
直ぐ呼んで来ます。」

慌てて入ろうとする唯に

「あぁ~ちゃうちゃう。
悠人じゃないから大丈夫。
ウチのお姫さんを見に来ただけだから。」

お姫さん???

あっ!!咲ちゃん。

「咲ちゃんですね!
直ぐに呼んで来ます。」

再び慌てて入ろうとした私に

「大丈夫。
ウチのお姫さん、来たって言ったら怒るからコッソリ見るよ。
それより、出番って何番目?
一応、ビデオなんて持って来たから。」

「さっき、合奏と合唱は終わっちゃったんですけど………
お遊戯は、後3つしたら出番……………あぁ~!!
私、後2つで出番だ。
先生に怒られちゃう!!
すみません、行きますね。
咲ちゃんには内緒にするので、楽しんで下さいね。」

バタバタ入ったから……………

せっかくのチャンスを忘れてた。