あなたの名前は忘れたけれど。

「バカな奴ですわぁ…人様に迷惑かけて…ほんまにすんませんなぁ…」


彼の父は、薄くなった頭を撫でながらそう呟いた。


俺たちは、言葉を詰まらせた。


こんな家庭で。

こんな親を見て。

こんな男になりたかったのか。


彼は。


「…」


何と言えば伝わるのだろう。

何と言えば心に響いてくれるのか。


罪を犯した罪人は罪人。


俺たちは無慈悲な心で、償いをさせなければならない。


けれど、こんな事があっていいのだろうか。