あなたの名前は忘れたけれど。

「彼氏作らんの?」


そう聞くと、彼女は決まって、頬にエクボを作りながら微笑んだ。


「ん〜、出来たらいいね!」


いつも明るい彼女。

絶えない笑顔で、一緒に居ると俺も楽しく感じる。


ついつい俺のダチにも紹介したくなる。

友達や兄ちゃんみたいな存在の人と2人で居酒屋なんかに行った時、俺は決まってお前を呼んだ。


彼女がどう思っていたかは知らない。

俺は、ただただ俺のダチと、俺と、お前で酒を飲みたかった。


「なぁ、この後どうする?」


酒を飲んだあと、兄ちゃんみたいな存在の人を見送って俺とお前は2人になった。

深夜を過ぎた街は暗く、静けさが俺たちを包む。