あなたの名前は忘れたけれど。

思い悩みながら過ごしていると俺は1人の女性を見かけた。


少し細身だが膝下の少し長いスカートがよく似合う。

ただ、もう12月になろうと言うのにコートも羽織らず薄手のニット1枚しか着ていない彼女。


肩より少し長い明るい茶色の髪がよく似合う。


この人しかいない


直感でそう感じた。

俺の理想の家庭を築くにはこの人しかいない。


その日から、俺は彼女へアプローチを開始した。


花束を持って行ったり、ケーキを持って行ったり、優しく微笑んで話しかけたり。


けれど彼女は何も答えない。

携帯番号も教えてくれない。


2日同じ服を着ていたりする。

瞬きをするのを見た事がない。


それでも変わらず、俺は毎日会いにゆく。