～異種魔法異能力挌闘SFファンタジー～ 帝竜 -ﾐｶﾄﾞﾉﾘｭｳ-

「お前がやろうとしていることって……論文を書くのに使うんじゃなかったのか……？」

　麟紅が右目を抑えて答えた。
　自分の考えすぎならいいが、場合によってはこの眼を使わざるを得ないかもしれない。

「ん～、残念。それは表向きの理由です。本当の理由は……」

「フロウズン！　凍えよ！！」

　言い終わる前に、すでに藍奈が杖を取り出し、呪文を唱えていた。
　杖の先から飛び出した氷の弾丸はまっすぐに煽烙へと向かっていった。

　しかし、煽烙はスーツのジャケットを脱ぎ、そのジャケットで氷の弾丸をすべて粉砕した。

「五雷使者　五丁都司　懸空大聖　霹靂轟轟……」

「くっそ！　予知眼！！」

　右目をふさいでいた手を振り払い、その眼を開いた。
　中から現れたのは、黄水晶(シトリンカラー)の瞳。
　しかし、もう遅かった。

「朝天五獄　鎮定乾坤　敢有不從　令斬汝魂！！」

　ピシッ、という音を立て、麟紅はその場に硬直した。
　かろうじて動かせる目で周りを見渡すと、茜と藍奈も同じように固まっていた。